屋根材にコウヤマキ 宇治の平等院鳳凰堂


《城南新報2016年6月4日付紙面より》
 
 宇治市宇治蓮華の平等院は3日、藤原頼通が1063年に建立した国宝・鳳凰堂の屋根の下地材(野地板)とみられる古材の中に、平安時代のコウヤマキが含まれていたと発表した。これまで鳳凰堂は総ヒノキ造りと考えられていたが、専門家による初の樹種調査の結果、耐水性が高い有用材を一部に取り入れていたことが分かった。
 
 コウヤマキは日本固有の常緑高木。鳳凰堂の創建前、奈良時代に平城宮で掘立柱(ほったてばしら)に使われていた事例などが確認されている。
鳳凰堂の明治修理(1902~1907年)で取り外され、保管されてきた創建当初の屋根材と伝わる古材3点の共同研究で、うち1点がコウヤマキと判明。年輪年代法調査により、平安期のものと分かった。
 コウヤマキは古代から平安期にかけ、建築部材ではヒノキに次いで多用されたが、現存する大型の木造建築では用材としての報告例はほとんどないという。樹種調査に携わった京都大学大学院農学研究科の横山操研究員らは「鳳凰堂の遺構材は我が国の建築用材の変遷を明らかにする上で、非常に貴重な資料」と、調査の意義をまとめた。
 また、残る古材2点は、いずれも鎌倉時代の修理で使われたとみられるヒノキだった。年輪年代や、樹種を選ばずにできる放射性炭素(炭素14)による年代測定の結果、明らかになった。今回の炭素14のデータは、日本を代表する値となることが期待できるという。
 神居文彰住職は「平安建築でコウヤマキの屋根材への使用が発見されたことも快挙」とし、「古くの物からこれほど多くの新たな物を知ることができる」と話した。
専門家らによる一連の共同研究の成果は、4、5日に奈良大学で開催される「日本文化財科学会」や、今月中旬発行予定の同院研究紀要「鳳翔学叢」12号で報告する。

研究調査が行われた鳳凰堂の屋根材(中央がコウヤマキの古材)
研究調査が行われた鳳凰堂の屋根材(中央がコウヤマキの古材)