新酒の仕込み本格化 キレ良い『濃潤旨口』 (城陽酒造㈱)


《城南新報2016年11月29日付紙面より》
 
 1895(明治28)年創業の南山城地域唯一の造り酒屋・城陽酒造(島本稔大社長)=城陽市奈島=の酒蔵内で、新酒の仕込み作業が本格化している。28日からは生原酒「たれくち酒」、原酒「にごり酒」の新酒が地元主要店にお目見え。9月の長雨の影響で、府内産・酒米の出来が「上々」とまではいかない中、杜氏や蔵人らが長年の経験をもとに、タンクを冷やし、じっくりともろみを発酵させるなど努力を重ね、同社自慢の『濃潤旨口』の味わいを堅持。お酒好きの人に「もう一口ほしい」と言わせるキレのある新酒に仕上がった。
 

タンク内のもろみを撹拌する『櫂入れ』作業
タンク内のもろみを撹拌する『櫂入れ』作業

 城陽酒造の地酒は、蔵内の井戸から汲み上げる豊富な地下水と府内産の酒米を原料に、丹精込めて仕上げる製法が約120年にわたって続けられている。
 新酒の先陣を切る生原酒「たれくち酒」、原酒「にごり酒」は、酒米を丹波・丹後地域で獲れた「五百万石」に限定。さらに近年、人気が復活しつつある「純米吟醸」「純米大吟醸」などの特定名称酒も同じく府内産の酒米「山田錦」や「五百万石」「日本晴」「祝」を主体に仕込む。今シーズンは清酒全体で昨年より一升ビン(1・8㍑)換算で1500本分多い4万8500本(8万7300㍑)を製造予定という。
 若者の清酒離れ、飲酒運転の取り締まり厳格化を背景に、外食(外飲み)が減少、清酒業界は〝冬の時代〟が続いていた。しかし、ここに来て京都市による「日本酒で乾杯条例」制定や外国人観光客の増加で、同社でも飲食店からの受注が増え、特に高価な「純米吟醸」「純米大吟醸」の増産が求められているという。
 ただ、島本社長は「お歳暮でいただいて味わったところ、おいしかったので買いに来ましたというお客さんの声が、本当にうれしい」と、酒づくりに生涯を捧げた先代の父・安さんから受け継いだ地元第一の精神を貫く。
 今シーズンは先月25日に杜氏、蔵人らが蔵入りし、酒造りを開始。仕込みが本格化した今では、通常10人の社員を臨時雇用で16人に増やし、毎朝4時から酒米を蒸したり、タンク内のもろみを撹拌(かくはん)する櫂(かい)入れ作業、ビン詰め、ラベル貼り、出荷…と大忙し。この作業は、来年3月中旬まで毎日続き、杜氏や蔵人らは年末や正月休みも返上して酒造りを行う。
 酒造りに携わり40年。杜氏になって15年目という古川與志次さん(66)は「ようやく朝晩が冷え込むようになりましたが、これまで最低気温が10℃を下回った日は数えるぐらい。もろみの発酵を抑えるため、タンクの周囲に4℃の冷水を巡らせて冷やす作業が大変です」と、苦労の一端を口にする。
 28日から地元の酒店に並んだ新酒の生原酒「たれくち酒」は2484円、原酒「にごり酒」は2268円=いずれも1・8㍑、税込み=。720㍉㍑入りもある。問い合わせは同社℡52‐0003まで。
 
◆◆初のイベント『酒粕詰め祭』(来年1、2月に)◆◆
 
 城陽酒造の人気イベントと言えば、振る舞い酒が味わえる『蔵開き祭』=来年3月12日開催=だが、今シーズンから1月、2月の土曜日に計4回の『酒粕詰め祭』が開催される。
 新酒シーズンを迎えたこの時期に、早くも酒粕の注文が殺到している。甘酒や粕汁に使用する人が多いが、若者の間では「そのまま焼いて砂糖をまぶして食べる」というお菓子が少なかった団塊の世代の幼少期を思い出させる味わい方が人気とか!?。
 初企画の『酒粕詰め祭』の開催日は1月14日と28日、2月4日と18日の各土曜日。午前9時30分~11時と午後1時30分~3時。1回500円で、参加者は同社指定のビニール袋に1分間にどれだけの酒粕が詰められるかを競い合う。
 「頑張れば2㌔は入ります」と話し、清酒の酒粕の販売価格が1㌔810円であることから、お得感たっぷり。各日とも数量限定でなくなり次第、終了する。
 

新酒販売の印…直売所の「杉玉」を新調する島本社長
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