守り伝える歌舞伎精神 中村獅童さん講演 (京都文教大)


《城南新報2017年1月19日付紙面より》
 
 宇治市槇島町千足の京都文教大学で18日、歌舞伎役者で同大学客員教授の中村獅童さんが「歌舞伎と日本的精神性」をテーマに講演した。芸に対する尽きない情熱から母との思い出話まで、示唆に富んだ語りで学生や市民を引きつけた。
 同大学臨床物語学研究センター主催の公開講演会で約400人が参加した。対話を通して演者の視点からも「日本的精神性」の本質に迫る臨床心理学部の秋田巌教授との対談形式で行った。
 中村さんは4、5歳当時に母の故・小川陽子さんが劇団四季や宝塚、ストリップまで垣根を問わず演劇を見に連れて行ってくれたエピソードを披露。「『みんな表現者』ということを知らず知らずに教育してくれた」と、自身の演技の根底を形づくった母に感謝した。
 19歳の時に「歌舞伎で主役をするのは無理」と周囲に言われたが、オオカミとヤギの友情を描いた人気絵本が原作の新作歌舞伎「あらしのよるに」で主役を務めた。東京・歌舞伎座での舞台を感慨深げに振り返り「若い人も夢と希望を持って。絶対あきらめなければ実現できる」と強調した。
 歌舞伎ならではの日本的精神性に関する質問に、先祖といった会ったことのないルーツへの祈りの気持ちに言及した。先人が残してきたものへの謝意を大切にしていること、自身にとって「舞台の上は神棚」であることを説明。その上で、母が自身を育て、守ってくれたように、過去の人々に守られていることに感謝の気持ちを忘れないよう誓った。
 

芸への尽きない熱意をにじませる中村獅童さん
芸への尽きない熱意をにじませる中村獅童さん