没後50年 順教尼の心刻む 観音像奉納へ儀式 (京都文教大学・短大)


《城南新報2017年4月27日付紙面より》
 
 「日本のヘレンケラー」と慕われる尼僧、大石順教(1888~1968年)の没後50年に合わせ、宇治市槇島町千足の京都文教大学・短大の宇治キャンパスに十一面千手観音像が奉納されることになった。像の造立にあたって同キャンパスで26日、法要と儀式が営まれ、参列者一人ひとりが心を込めて原木にノミを入れた。
 
 順教尼は大阪・道頓堀生まれ。舞妓だった17歳の時、養父が6人を殺傷した事件に巻き込まれ両腕を失った。カナリヤがくちばし一つでヒナを育てる姿を見て、口に筆をくわえて書画を独学し、般若心経の写経で日展入選も成し遂げた。
 1933(昭和8)年に出家。山科区の勧修寺境内に「身障者いこいの家」を建設し、後半生は身体障害者の自立教育や社会復帰に傾注してきた。
 千手観音像の造立は、順教尼の月命日の21日に毎月開かれる集いに参加している京都文教短大の安本義正学長(73)を代表に、順教尼ゆかりの人々や福祉関係者ら7人が呼び掛け人となった。
 京都文教大学・短大は一昨年の冬、50回記念を迎えた学園祭「指月祭」で、順教尼が口筆で創作した書や絵などを展示するコーナーを開設。短大には順教尼について学ぶ講義もある。順教尼の教えと、凛と生き抜いた姿を後世に伝承しようと、若者の教育の場である同大学・短大へ、思いを込めた観音像の奉納を決めた。
 この日の法要には約80人が参列。読経の後、儀式で観音像の原木となる20㌢角、長さ50㌢のヒノキに1人ずつ順にノミを入れ、木片をお守りとして持ち帰った。
 安本学長は「ライフワークとして若い人に大石順教尼の生き様を伝えていこうと、心新たにした」と話した。学生たちには観音像を通じて「努力と、気持ちを込めて何かに取り組めば夢は叶うこと、命を大切にする心を育んでもらいたい」と願った。
 観音像は後光などを除くと高さ40㌢余り。参列者がノミを入れた原木を、城陽市の仏師、平杉峯香さんが約1年半かけて彫る。奉納後、折に触れて学生が拝めるようにする。
 

儀式で十一面千手観音像の原木にノミを入れる参列者たち
儀式で十一面千手観音像の原木にノミを入れる参列者たち