久御山の陶芸作家・宮崎正制さん “切り絵象嵌”立体の美 12日から京都市内で個展


《城南新報2017年5月10日付紙面より》
 
 工芸の伝統的な装飾技法「象嵌(ぞうがん)」を基に新たな「切り絵象嵌」を開発した久御山町栄の陶芸作家、宮崎正制(みやざき・まさのり)さん(78)が、平面が主の切り絵象嵌で立体の陶芸作品に取り組んでいる。独自技法のジャンルを広げようと、創作意欲を燃やす。
 
 宮崎さんは50歳から趣味で陶芸を始めた。宇治市西笠取の市総合野外活動センター「アクトパル宇治」近くに構えた工房で創作に打ち込んでいる。
 宮崎さんが独自考案した切り絵象嵌は、柔らかい土の上に色の違う粘土を埋め込み、絵の具も筆も使わず土の色だけで絵柄や模様を描くもの。表面に配した異なる色の粘土の形がつぶれないよう、ローラーでプレスする工程などを試行錯誤し、5年がかりで開発した。作品は今年、同町ふるさと納税の返礼品にも取り入れられ、3点中2点が既に受付終了となった。
 切り絵象嵌は技法の性質上、もっぱら陶製の板。そこで、宮崎さんは従来からの創作活動と並行し、立体作品を試みてきた。粘土板の切り絵象嵌を柔らかなうちに筒状にし、ろくろで膨らみを成形して花器を完成。板状の粘土を接ぐため、剥がれない接ぎ方をするのが難しかったという。つぼ状の立体作品をひと段落させた現在、板状の切り絵象嵌を組み合わせた6面体のユニークな作品も試作し、「絶えず考えていたら『アッ』というデザインができる」と地道に新作の構想を練る。
 このほか磁器の切り絵象嵌にも挑戦。展覧会で出会った京都在住の陶芸家、片山雅美さんのアドバイスを基に、収縮率が異なる磁器と陶器の板を組み合わせる手法を成功させた。
 宮崎さんは12日(金)から個展を開き、花器や半磁器の皿など、切り絵象嵌の作品約50点を出展する。花器には琳派の流水紋にちなんだ柄やツルを描いた。皿は安藤広重の浮世絵「東海道五十三次」をモチーフにした作品や、サクラの葉やモミジなどをかたどった文様と蚊帳(かや)の網目を組み合わせた独特の風合いの作品も紹介する予定。「皆さんの意見が次の作品の参考になる」と話す。京都市中京区姉小路通柳馬場東入菊屋町のギャラリー象鯨で16日(火)まで、午前10時~午後5時(最終日は午後3時)。入場無料。
 

切り絵象嵌の立体作品を紹介する宮崎さん
切り絵象嵌の立体作品を紹介する宮崎さん