英国競技会で総合1位に ペーパークイリング作家 (城陽・鍋川由喜子さん)


《城南新報2017年9月22日付紙面より》
 
 「クラフトで世界の人々を笑顔にしたい」と、ヨーロッパ伝統のペーパークイリングに情熱を燃やす作家・なべかわゆきこ(45)=本名・鍋川由喜子さん、城陽市富野=が夢をあきらめず、頑張れば実現することを証明。昨秋、イギリスで開かれた「ザ・クイリング・ギルド・コンペディション」4部門中3部門で1位を獲得。ヨーロッパ総合1位の座に輝いた。この快挙を記念して今月29日(金)~10月2日(月)に京都市内で個展を開催される。
 
 ペーパークイリングの発祥は、紀元前2000年ごろ。最初は草や木の幹を割いて作られていたとされ、16~18世紀に全盛を迎え、欧州では「貴族が聖書の切れ端で作り始めた」と、由緒正しい伝説が語り継がれている。
 当時は、鳥の羽軸(クイル)の先で細長い紙を巻いていたことから「ペーパークイリング」と命名され、欧州の伝統クラフトの代表格として、今やヨーロピアン・インテリアの装飾に採用されるなど、世界中の愛好家に幅広く親しまれている。
 鍋川さんがペーパークイリングに取り組むきっかけは11年前の2006年。NHKテレビの教育講座『おしゃれ工房』を見たこと。だが、なかなか紙を巻く「ニードル」が見つからず、半年後、ようやく友達と行った八幡市の手芸店で出会った時は「本当にうれしくて家に帰り、その夜から作品を作り始め、夢中になり過ぎて気づいたら、朝になっていました」とのエピソードも。
 しかし、最初から作家活動は順風ではなく、城陽市役所の臨時職員など非正規の仕事と、作品づくりの両立は想像以上に大変だったらしく「仕事が終わって帰宅後、朝方4時ごろまで作業して、8時に出勤したこともありました」と苦労の一端を語る。
 しばらくは地元の手作り市『五里五里のさと・クラフトフェスタ』などで地道に作品をPR。オリジナルブランド「Nauvey‘s Castle」を立ち上げ、ネットで作品紹介・販売をする日々を過ごした。
 そんな鍋川さんの作品が脚光を浴びる出来事があったのは、3年前の2014年9月、技法を高めるべく、渡英した際、世界的に有名なクイリング作家ジェーン・ジェンキンス氏に出会い、現地で開かれた「ザ・クイリング・ギルド・コンペディション」への出展を勧められ、何とテクニカルとデザインの2部門で2位に入賞。
 ここから鍋川さんは、2足3足のわらじをやめて、プロのクイリング作家に専念。世界2位の受賞記念「個展」を京都や大阪で開いたほか、昨年6月には自らのブランド10周年を祝う個展を京都で開催。
 そして9月に英国の「ザ・クイリング・ギルド・コンペディション」に2度目の挑戦。生まれ育った城陽市の花「花しょうぶ」をあしらったものと、服の胸元をクイリングで彩った額入りの2作品を出展。これらで「テクニカル」「カラーセンス」と「パーソナルフェボライト(人気投票)」の3部門で1位を獲得。4部門中3冠で文句なしに総合1位に輝いた。
 これら実績が評価され、今年のGWセール(京阪シティモール)のチラシ表紙に、鍋川さんの作品がデザインとして採用されるなど、今や日本を代表するペーパークイリング作家に…。鍋川さんは「いろんな失望や挫折もありましたが、夢をあきらめずに取り組んできて本当によかった」と感動のコメント。
 作家活動の原点『五里五里のさと・クラフトフェスタ』を主催する手作りの会の長澤とよ海代表は「鍋川さんが夢を実現されたことは、辛い思いをしながら頑張っている多くの作家さんの励みになります」と、自分のことのように喜んでいる。
 なお、鍋川さんが欧州1位を獲得した作品の国内初披露となる個展『かさねがさね』が29日(金)~10月2日(月)に京都市中京区のギャラリー「Take two」で開かれる。開催時間は午前11時~午後7時(最終日は同6時)。場所は地下鉄東西線「京都市役所前駅」下車、御池通を西へ歩き、御幸町通を北へ上がった所。問い合わせは鍋川さんの携帯090‐3619‐6268まで。
 

ヨーロッパ総合1位に輝いた作品を手に笑顔の鍋川さん
ヨーロッパ総合1位に輝いた作品を手に笑顔の鍋川さん