「菩薩立像」真の姿は… 来年1月12日まで特別展 (ミュージアム鳳翔館)


《城南新報2017年10月7日付紙面より》
 
 世界遺産平等院=宇治市宇治蓮華=に伝わる「木造聖観音菩薩立像」の調査修理が完了し、知られざる真実の片鱗が明らかになった。当初想定したオーソドックスな観音菩薩ではなく、阿弥陀如来と西方浄土から臨終者を迎えにいく躍動的な菩薩であった可能性が高い―と、成果発表した。関係者は、平等院と平安彫刻の歴史にとって、画期的な発見とみている。きょうから来年1月12日(金)まで、ミュージアム鳳翔館で一般公開する。
 
 鳳凰堂内の壁面に現存する52体の雲中供養菩薩像を手がけた仏師・定朝、あるいは末裔によるものと考えられる聖観音菩薩立像(平安後期・ヒノキ・割矧造り)は、今年まで2年にわたり調査修理された。
 長年、平等院観音堂に安置。レンゲのつぼみを手にした蓮華手菩薩立像とも呼ばれ、観音菩薩の基本である「聖観音」に区分されてきた。
 ところが、今回の修理過程で、後世に施された部材を取り外すと、希少かつさまざまな特徴が判明。修理後の高さが約110㌢(台座を含む総高約146㌢)の立像は、仏師の腕の高さの一方で▽前方から全身に風を受ける▽左足を一歩前に踏み出す前屈みの姿勢▽蓮華座ではなく雲座か▽両手で蓮台を捧げる姿か―などと推定され、阿弥陀如来をメーンに、臨終者を迎えに行く「阿弥陀三尊」の左脇に構え、蓮台を捧げる「観音菩薩」の可能性が高い―と結論付けた。
 絵画に比べ仏像が現存する例は少なく、臨場感を表現した立像は激レア。たった一つの独尊も、本来は阿弥陀三尊であったことが想像できるという。
 聖観音として信仰されてきた点などを考慮し、今回の修理ではその線で補足を施した。
 修理を担当した公益財団法人美術院の木下成通技師は「阿弥陀像、運中菩薩像を含む鳳凰堂内で描かれた世界の解釈につながる発見。美術史上大きく、平等院や来迎菩薩の成り立ちにかかわる」、神居文彰住職は「現存する最古の立像来迎仏とする見解を否定する要素はない。鳳凰堂にある時期、安置されていたなら、本尊の静と菩薩の動というきわめて高次元での意匠空間が実現されていたと思われ、想像するだけで胸が躍る」とコメントする。
 特別展「風はらむ仏・天衣ひるがえるお迎えの菩薩」の会期は、来年1月月12日(金)まで。無休。午前9時~午後5時。問い合わせは、同館℡21‐2861まで。
 

平等院と平安美術史、鳳凰堂内の成り立ちに思いを至らせる菩薩立像
平等院と平安美術史、鳳凰堂内の成り立ちに思いを至らせる菩薩立像

コメントは受け付けていません。