久御山町野村の称名寺 〝寺主〟映画 つながり描く 地元挙げてミュージカル


《城南新報2017年10月14日付紙面より》
 
 古刹の本堂でライブや僧侶と僧侶が説法ラップバトルで人生問答―ちょっとぶっ飛んだ、そして、地域ならではの魅力や人間くささがあふれる〝お寺ミュージカル〟映画を、久御山町野村の称名寺が制作した。同寺を舞台に僧侶・檀家が出演。老若男女がストーリーを織りなし、地元との温かな絆やつながりから生まれた作品だ。
 

称名寺の本堂で行われた「DOPE寺」の撮影(3月)
称名寺の本堂で行われた「DOPE寺」の撮影(3月)

 自主制作ならぬ〝寺主制作〟で完成した「DOPE寺」。称名寺副住職の稲田瑞規さん(25)の発案で実現した。
 地方の「ローカル寺」で稲田さんは、少子化や若者の寺離れといった社会問題に直面。「今一番大切なのは、支えてくれる檀家さんや近隣の人々との『つながり』をさらに深めること」と原点回帰し、「楽しい思い出がカタチとして残る」映画に着目した。寺の新たな挑戦に、当時、早稲田大学4年生で、映画制作に携わっていた小池茅さん(23)が共鳴した。
 作品の舞台は称名寺。キャストは同寺ゆかりの人々。子供から大人までエキストラを地域で募集し、3月に撮影が行われた。
 寺を継いで地元で生きることに閉塞感を抱く跡取り僧侶の葛藤などを、パンクロックを交えて描いた。見どころの一つが僧侶と僧侶のラップバトル。「仏教とは何か」「地元で生きていくとは何か」などを巡り、実の親子の住職と副住職が韻を踏んだ口げんかで火花を散らす。
 同寺で、このほど開かれた上映会には100人超が集まった。映画に出演するバンド「本日休演」が本堂でライブを繰り広げ、子供から高齢者まで3世代が沸いた。
 稲田さんは「檀家さんに支えられ、寺は生きてきた。寺に老若男女、知らない世代が集い、見たことのない光景。檀家さんとの絆やつながりを最大限に表現してくれた」と手応え。
 監督を務めた小池さんは「『笑いのポイント』について考えさせられたり、先代住職の人望の厚さを感じた」と笑った。初の久御山ロケは「知らないまちだったけれど、なぜか懐かしかった」という。今後、作品を動画サイトで公開できたら―との思いを抱く。
 エキストラの1人で檀家の西村綾子さん(88)は「改めて久御山のお寺の良さが分かった。こういうことに寄せてもらって、楽しませてもらいました」と感慨深げに話した。
 

上映会で「本日休演」のライブに沸きに沸く来場者たち
上映会で「本日休演」のライブに沸きに沸く来場者たち

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