シカ食う野犬は恐ろしい みどりが丘“出没”くつわ池


《城南新報2018年1月16日付紙面より》
 

宇治市と宇治田原町の境界付近にあたる立場林道で、シカを食う野犬が目撃された。
 現場は府民スポーツ広場「みどりが丘」の入口から、宇治田原町方面へ約100㍍、末山「くつわ池自然公園」バーベキュー場のフェンス沿い側溝。
 14日午後1時30分ごろ、くつわ池の山肌から転げ落ちるように、大きな物体がドスンと道路に叩きつけられるのを、宇治市内に向かって走行中のドライバーAさんが発見。
 急ブレーキをかけて目を凝らすと、足をバタつかせている鹿(シカ)。その喉元には野犬が食らいついていた。
 犬はズズー、ズズーとシカをガードレール下まで引きずり、側溝に落とすと、連続的に首元を狙い、むさぼり始めた。
 あたりに響く、断末魔の鳴き声。Aさんは、この様子をスマホの動画に収めたあと、もう少し近づこうと、みどりが丘でUターン。
 すぐ横に車を止め、助手席の窓から見ると、鋭い牙をむいた野犬が、ガードレールをくぐり、ドアに向かって前足を伸ばすと、「グルルルル」と威嚇してきた。【写真㊦】
 顔のあたりが黒く、全体的には茶色の犬で、飾り気のない簡素な首輪(黄色)をしていた。
 そして、その数秒後、もう1頭、同様の毛色の野犬が出現。こちらは緑色の簡素な首輪をしており、2頭そろって数回、シカにかぶりつくと、車を気にしてか、道路を渡り、城陽市の山砂利採取地方面へと消えて行った。
 この2頭によく似た野犬は昨年8月30日、みどりが丘に出没している。
 府職員が宇治署に通報し、パトカーが駆け付けると、逃げ去ったが、その姿を遠目に署員が確認している。
 昨年、鹿を襲う野犬が、最初に目撃されたのは、宇治市の白川地区。
 6月24日、小鹿が首の骨を折られて即死。7月14日にも小鹿をかみ殺しているところを見られている。
 宇治署などによると、体長約1・5㍍、体高が約70㌢はあろうかというシェパード風の黒い大型犬で、首輪は付けておらず、筋肉隆々とした体つきだった。
 また、9月には宇治川ラインの宵待橋付近で、鹿を追いかける野犬2頭の目撃情報があり、そこからほど近い郷之口向井の事業所でも、経営者の男性が、鹿を追う犬に遭遇している。
 〝一匹狼〟的なアウトロー犬が複数いるのか、それとも〝徒党〟を組んでいるのか…定かではないが、今回の茶色2頭については、京都府猟友会の奥田定雄会長(宇治市在住)が認識していた。
 2年ほど前、白川地区に捨てられた飼い犬とみており、複数回の目撃情報があるという。
 高価な猟犬ではなく、通常の野良犬だが、野生化する中で「ハンター」としての技を身に付け、シカなどの「生肉」の味を覚えたのでないか…と推察する。
 これら野良犬は猟友会の駆除対象ではなく、保健所管轄の保護対象となるが、捕まえるのは難しいというのが実情。
 人間に近づいてくることは、めったにない…と奥田会長は話すが、獲物を食べている時、たまたまハイカーなどが横を通ると、危険な状況にもなりかねない。
 まして、今回の現場は子供たちや家族連れが集うスポーツ広場、自然公園のすぐ近くである。
 府山城北保健所では、野犬に遭遇した場合の注意点として▽急に駆け出さない▽大きな声を出さない▽犬を見ながらゆっくり遠ざかる…などを挙げている。
 

シカの喉元に食らいつく野犬
シカの喉元に食らいつく野犬