宇治発エコボールの縁 “乙訓”必勝へ一針ずつ みっくすはあつ利用者が修繕


《城南新報2018年2月10日付紙面より》
 
 宇治市のNPO法人就労ネットうじ「みっくすはあつ」の利用者が修繕した「エコボール」の硬式球を練習に使っている府立乙訓高校(長岡京市)が、第90回選抜高校野球大会に初出場する。エコボールの縁から交流が生まれた学校の快挙に、利用者らの喜びもひとしお。活動に弾みをつけ、甲子園での選手たちの活躍を願っている。
 
 エコボールは、糸が切れたり、革が破れるなどした硬式球を障害のある人が手縫いし、その作業費を工賃に変える宇治発祥の活動。横浜ベイスターズなどで活躍した元プロ野球選の大門和彦さん=東宇治高出身=の発案を受けて、みっくすはあつが2009年から始めた。
 作業では、糸のほつれを取り除き、針を使って手作業で丹念に皮を縫い合わせていく。チームの希望に応じて、水が染みないよう糸をろうでコーティング。再生したボールは寿命が3倍にも伸びる。
 今では全国29施設・事業所に活動が拡大し、高校・大学・中学硬式クラブチームなど232団体(153高校、79チーム)が依頼。1球100円、年間計約2万球を手掛ける。
 また活動は、障害者の新たな雇用や社会とつながる喜び、選手の道具を大切にする心にもつながっている。全国で注目を集め、社会に感動を与えた人々を称える「シチズン・オブ・ザ・イヤー」(シチズン時計主催)を昨年受賞した。
 みっくすはあつは昨年12月、乙訓高硬式野球部に修繕したボール約480球を納品した。「センバツ出場決定」の報を受け、14日に利用者代表が同校にメッセージカードを持参し、選手たちにエールを送る予定だ。
 練習を見学し、選手たちと交流する機会が生まれるのも、顔と顔を合わせて修繕品を受け渡すエコボールならではの喜び。活動そのものが「やりがいになっている」(みっくすはあつ)といい、利用者たちは高校球児の夢に思いを重ね、活動の推進力にしている。
 

利用者の丹念な手仕事で完成する「エコボール」
利用者の丹念な手仕事で完成する「エコボール」