10年ぶりヒノキ160本むく 奥山田に“原皮師”参上 京都の国宝や重文の屋根に


《城南新報2018年3月24日付紙面より》
 

宇治田原町の山里で160本のヒノキが赤くなった。職人技を駆使したのは、原皮師(もとかわし)。剥ぎ取られた皮は、国宝や重要文化財の屋根材として使われる。
 
 原皮師はヒノキの立木から樹皮を剥がし取る技術者で、古来から神殿や仏閣の檜皮葺(ひわだぶき)屋根を支えてきた。
 現在では全国に20人ほどしかいない…と言われるが、その継承者が奥山田に参上した。
 古文化財建造物御用達・岸田工業㈱(京都市山科区)の保存技術士・尾崎良助さんら2人。
 ヒノキの皮が再生するには8年以上を要することから、ここ遍照院の裏山に入ったのは10年ぶりとなる。
 両端に木の棒をくくり付けた長いロープ1本を巧みに使い、樹齢100年以上のヒノキに登ると、カナメという木で作った「ヘラ」を使い、薄い甘皮を残して剥いでいく。【写真㊦】
 そして、この樹皮を2尺5寸(約75㌢)の長さに切り、ロール状に束ねていく。
 単位は「丸」で数え、1丸が360枚ほどで重さ約30㌔。【写真㊤】
 ヒノキ2本で1丸つくれるといい、今回は昨秋から延べ約3カ月を要し、計80丸。160本の木を赤くした。
 剥がした皮は、上辺10㌢下辺15㌢ほどの台形にし、厚さも整える「皮ごしらえ」の後、竹釘で屋根に打ち込まれていく。
 奥山田でとれた10年前のものは、上賀茂神社の檜皮葺屋根の一部になっており、今回は清水寺や京都御所などの葺き替えに使われるという。
 1坪(約3・3平方㍍)の屋根を葺くのに5丸、約150㌔が必要で、原皮師は良質のヒノキを求めて、きょうもまた、どこかの山を目指す。