茶の隆盛へ縁の下の力 製茶道具や黄金茶室など展示 (久御山町内) 


《城南新報2018年5月19日付紙面より》

「焙炉(ほいろ)」などの展示が始まった店内(イオンモール久御山)
「焙炉(ほいろ)」などの展示が始まった店内(イオンモール久御山)

新茶シーズンを迎え、地元各地で茶業関係者が良質の茶づくりに汗を流す。茶どころの山城地方で、久御山町は近隣の宇治市や城陽市、宇治田原町と比べてお茶のイメージこそ薄いが、まちの貴重な産業を盛り立てようと、展示や企画など「縁の下の力持ち」の活動が盛んだ。

イオンモール久御山では、店舗のリニューアルに合わせて先月から、宇治茶の魅力を発信する取り組みが始まった。
地域に根差した企画の一環。お茶の緑を基調にした館内装飾も工夫して、日本遺産の一つである同町佐山浜台の「浜茶」と流れ橋の景観をはじめとした山城地域や宇治茶の魅力を多彩に発信していく。
目を引くのは「茶の郷ミュージアム―宇治茶ができるまで」と題した展示。茶かごや摘んできた生葉を蒸す蒸籠(せいろ)、手もみ製茶で使う専用の焙炉(ほいろ)、てん茶をひいて抹茶にする石臼といった茶づくりに関する昔ながらの道具を、テナント店に面したメーンの通路に入れ替えながら通年展示する。
「宇治茶のある生活に気軽に親しんでもらうイメージ」を大切に、茶どころならではの店舗へ来店を呼び掛けている。
            ◇  ◇
町中央公民館には出入り口正面に宇治茶の民具が並ぶ。町内で唯一、茶が生産されている佐山地域で、昭和期に全国・関西各茶品評会で1位入賞(てん茶)の経験を持つ西村富美雄さんが寄贈したもの。
展示は茶の保存、運搬などに使われていた茶櫃(ちゃびつ)、素焼きの陶製容器の茶壺、茶の仕上げや一時取り置きなど、さまざまな場面で役立てられた巨大なお盆状の「ぼて」、茶をすくい取ったり風力選別などに使った箕(みの)など。機械化前の茶づくりを支えてきた資料から、町の茶文化を伝える。
            ◇  ◇
役場1階ロビーには、町内のものづくり技術を結集した「黄金の茶室」が威容を誇る。
豊臣秀吉の黄金の茶室に着想を得たもの。府南部から宇治茶の魅力を発信する「お茶の京都博」に合わせて昨年度、先端の製造技術と茶文化の融合で、同京都博の催しに向けた「一坪茶室」として製作された。東京大学生産技術研究所の川添善行准教授の研究室がデザイン・設計を担当、町内事業所10社が技術を持ち寄り、産官学連携で完成させた。
アルミ製パネル3枚を巧みに組んだ形状。高さ約3㍍。内装に金箔を再現した金の印刷を施し、超高精細にスキャン撮影した掛け軸や、真空のステンレス製茶釜などをしつらえた。
これまでに、府の「お茶の京都」のスポットCMにも登場。佐山浜台の景観をプリントした横断幕を背景に、来館者に自由に見てもらっている。

コーナーには町民が寄贈した茶の道具が勢ぞろい(中央公民館)
コーナーには町民が寄贈した茶の道具が勢ぞろい(中央公民館)
町内企業の技術の結集で製作された「黄金の茶室」(町役場)
町内企業の技術の結集で製作された「黄金の茶室」(町役場)