《城南新報2018年8月8日付紙面より》
往時のオイカワ(ハエ)の魚影を回復させようと、宇治橋下流の宇治川右岸・丸山浜で7日、産卵床づくりがあった。宇治川漁業協同組合(澤田章治代表理事組合長)などの関係者と有志ら計約10人が集まり、川底にたまった泥の除去などに汗を流した。
寒バエ釣りのメッカとされる宇治川で、人工産卵床をつくって個体数を増やす試み。かつて数多く見られたオイカワが近年、水質環境の変化や天敵である外来種の影響などで激減。そのため同組合では、固有の水産資源の保護や宇治川の食文化の全国発信を見据え、継続的に卵床づくりを企画している。
オイカワは夏場が産卵期。水深30㌢ほどの緩やかな流れの平瀬で、藻の付いていないきれいな川底が産卵床の最適地とされる。
参加者は川底の大きな石を移動させ、すきを使って底を耕して泥や藻を流したり、きれいな石や砂にしたりし、オイカワが卵を産みやすい環境を整えた。事後のデータ収集のため、川岸近くを4つのエリア(縦3㍍×横8㍍3つ、縦3㍍×横6㍍1つ)に区切り、産卵床を設置した。
同組合副組合長の小山勝利さんは「宇治川の改修工事で生息環境が変わった」と話す。連日の猛暑による河川の水温上昇が生態系に与える影響を懸念しつつ、「宇治川でもっと魚がとれるようにし、宇治の食文化を復興させ、それを全国に発信できたら」と期待を込めた。今後はウナギの寝床もつくりたいという。