丸善京都本店で新刊記念講演 「南山城から視た異国京都」 宇治の小説家・東義久さん


《城南新報2018年8月25日付紙面より》
 
 歴史上、パリ・コミューンより約400年早く住民自治を実現させた山城国一揆を取り上げた小説など多数の著作を世に出す東義久(あづま・よしひさ)さん(69)=宇治市大久保町北ノ山=が新刊「B級京都論・南山城から視た異国京都」(澪標、151㌻)を、このほど刊行し、話題を集めている。自らが生まれ育ち、愛してやまない南山城にちなんだ歴史や風土、人物について、〝京のみやこ〟との相関を踏まえながら自然体で縦横無尽に綴った。
 
 小説家であり、演劇や音楽の世界でもマルチな才能を発揮する東さんの最新刊となる「B級京都論・南山城から視た異国京都」。「本屋には多くの京都案内本が見受けられるが、南山城からの視点が少ない。京都に負けへんもんがある」と強い思いを抱く中、出版社からのオファーが背を押した。
 東さんはこれまで、紫式部市民文化賞受賞の「小説山城国一揆」(90年・図書出版文理閣)をはじめ、絵本「京の走り坊さん」(93年・㈱クレオ)、映画の小説版「アイ・ラヴ・フレンズ」(01年・図書出版文理閣)など次々に刊行。演劇脚本や小説の映像化、ケーブルテレビでの童話放映にも力を注ぎ、今年は重要文化財杉本家住宅で上演した「カンタータ一休閑話」が好評につき11月4日(日)京田辺市での公演も決まっている。
 15世紀後半、「応仁の乱」の混迷を受けた南山城で、国人(地侍)と民衆が経済や裁判権も手にして約8年にわたり自治組織を運営してみせた山城国一揆が著作活動の「核」という東さんは、本作で「山城国一揆のさらなる大衆化」を志向。「中世は文書の読み解きがまだまだ手付かずで、分かりにくい。応仁の乱は、東軍と西軍に行ったり来たりの人物もあり、拍車をかける」と指摘し、より多くの人の心に届く伝え方を追求する。
 自治組織はその後、平等院で集会を開き、「通常の一揆は土蔵破りで終わる。この世の極楽浄土に集まり、掟法などを定めた革命を果たす民主主義のもと。後(のち)の秀吉らに影響を与えたのでは」と意義を強調する。
 このほか本作で、白洲正子が「千年のすれっからし」と評した京都人の性格について「言いえて妙。南山城はもっとしたたか」と笑ってみせ、グループサウンズ(GS)ブームからバンドを組み演奏を続ける中で交遊のある仲間の活躍などに触れ、ざっくばらんにさまざまなエピソードを披露している。
 近隣では丸善、ジュンク堂書店で扱うほか、アマゾンでネット購入可。価格は1620円(税込み)。
 なお、9月1日(土)午後2時から丸善京都本店(BAL地下)で出版記念講演がある。先着30人。地下2階レジカウンターで整理券配布。問い合わせは同店℡075‐253‐1599まで。
 

大久保町の自宅で東さんが最新刊をアピール
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